「手に職をつけたい」「誰かに感謝される仕事がしたい」と考えている方にとって、「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格は魅力的な選択肢です。
この仕事は、人の体と心の疲れに寄り添い、直接「ありがとう」という感謝の言葉をもらえる、やりがいの大きな職業です。
今回は、あん摩マッサージ指圧師になるための具体的な方法や、仕事の魅力について詳しく解説します。
あん摩マッサージ指圧師とはどんな仕事？
あん摩マッサージ指圧師は、厚生労働大臣が認定する国家資格を持ったプロフェッショナルです。
筋肉や関節のこりをほぐし、血行を促進することで、人々の体調を改善へと導きます。
「あん摩」と「指圧」と「マッサージ」は異なる技術ですが、患者の症状や状態に合わせて施術法を変えるスキルが求められます。
具体的には、以下のような技術やスキルが重要になります。
■指圧：
拇指、手掌、肘などを用いて、経絡やツボに垂直に圧を加え、筋肉の緊張を緩和し、神経の働きを調整する技術です。
適切な圧の強さや持続時間を見極める感覚が求められます。
■マッサージ：
撫でる、揉む、叩く、さする、振戦など、様々な手技を組み合わせて筋肉や皮膚に刺激を与え、血行やリンパの流れを促進し、疲労回復やリラクゼーションを促す技術です。
リズム感や手のひら全体を使った包み込むようなタッチが重要です。
■あん摩：
衣服の上から、揉む、叩く、押す、撫でるなどの手技を用いて、全身の筋肉をほぐし、体調を整える伝統的な手技です。
これらの手技を患者の症状や状態（急性期か慢性期か、筋肉の硬さ、痛みの有無など）に合わせて適切に選択し、組み合わせる判断力と応用力が不可欠です。
また、医師の同意があれば保険適用での施術も可能なため、医療機関と連携して働くこともできます。
活躍できる場所は意外と広い
あん摩マッサージ指圧師の活躍の場は多岐にわたります。
- 医療機関やリハビリ施設
- 鍼灸整骨院や治療院
- 高齢者施設や訪問マッサージ
- スポーツチームのトレーナー
- 独立・開業しての自営業
一生使える資格として、長く安定して働けるのが大きな魅力です。
「ありがとう」がやりがいになる仕事
あん摩マッサージ指圧師の仕事は、多くのやりがいを感じられる瞬間があります。
①直接感謝の言葉をもらえる
施術を通して、目の前の人のつらさを和らげることができる仕事です。
施術後に「体が軽くなった」「楽になった」「ありがとう」と直接声をかけてもらえる瞬間は、他の職種ではなかなか得られない大きなやりがいです。
②高齢者や障害者にも頼られる存在
高齢化が進む現代において、慢性的な不調を抱える人が増えています。
通院が難しい高齢者や障害者の自宅を訪問して施術を行うこともあり、地域医療や福祉の一端を担う存在としても注目されています。
③技術があれば年齢を問わず働ける
年齢を重ねても働き続けやすいのが特徴です。
実際に、40代や50代から資格を取得し、活躍している方も多数います。
転職やキャリアの再スタートにも人気の職業です。
あん摩マッサージ指圧師になるまでのステップ
では、具体的にどのようにすればあん摩マッサージ指圧師になれるのでしょうか。
ステップ1：指定の養成施設で3年間学ぶ
あん摩マッサージ指圧師になるには、文部科学大臣または都道府県知事が認定した専門学校や盲学校（指定養成施設）で、3年間の課程を修了する必要があります。
主なカリキュラムには、以下のような内容が含まれます。
●解剖学や生理学などの基礎医学:
人体の構造（骨、筋肉、神経、血管など）や機能（消化、呼吸、循環など）について深く学びます。
これにより、施術の対象となる身体を正確に理解し、安全かつ効果的な施術を行うための土台を築きます。
●東洋医学概論:
経絡やツボ、陰陽五行説といった東洋医学の基本的な考え方や概念を学びます。
西洋医学とは異なる視点から身体を捉え、症状の原因を探るための知識を習得します。
●臨床医学各論:
様々な疾患について、その病態、症状、診断、治療法などを個別に詳しく学ぶ分野で、解剖学・生理学などで得た知識を基に臨床現場で役立つ知識を習得します。
●手技療法の実習:
あん摩、マッサージ、指圧の各手技を実践的に学びます。
正しい姿勢、力の入れ方、リズム、患者への配慮など、専門的な技術と感覚を繰り返し練習することで身につけます。
●臨床実習（現場での実地訓練）:
実際に患者さんを対象とした施術を通して、学んだ知識と技術を応用する訓練を行います。
問診から施術、アフターケアまでの一連の流れを経験し、実践的な対応能力とコミュニケーションスキルを養います。
【あん摩マッサージ指圧師を目指せる専門学校はこちら】
あん摩マッサージ指圧師を目指せる専門学校の例をご紹介します。
ご自身の目標に合った学校を見つけるために、詳細な情報や最新の募集要項は、ぜひ各学校の公式サイトをご確認ください。
ステップ2：国家試験に合格する
3年間の課程を修了すると、厚生労働省が管轄する国家試験の受験資格が得られます。
国家試験は年に1回実施されます。
試験科目は以下の通りです:
医療概論：
医療の歴史、医療制度、医療倫理、医療安全など、医療全般に関する基本的な知識を問われます。
あん摩マッサージ指圧師として医療現場で働く上で必要な、幅広い視点と基礎的な理解が求められます。
解剖学・生理学：
人体の構造（骨、筋肉、神経、内臓器など）と機能（消化、呼吸、循環、内分泌など）について詳細に学びます。施術を行う上で、どの部位にどのような筋肉や神経があり、それがどのように機能しているかを正確に把握するための、最も重要な基礎科目です。
衛生学・関係法規：
感染症予防、環境衛生、公衆衛生、そしてあん摩マッサージ指圧師に関する法律（あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律など）や関連法規について学びます。
安全で衛生的な施術環境を保ち、法規を遵守して業務を行うための知識が問われます。
あん摩マッサージ指圧理論・実技：
あん摩、マッサージ、指圧の各手技の理論的な背景、適応症、禁忌症、施術方法、効果などについて問われます。
国家試験の合格率は例年80％前後と高く、養成施設でしっかり学べば十分に合格を目指せる資格です。
合格すれば、あん摩マッサージ指圧師として就職や開業が可能になります。
「人の役に立ちたい」「一生使える資格を取りたい」というあなたへ
あん摩マッサージ指圧師は、「ありがとう」が直接届く、非常に実践的な資格です。
誰かの不調を改善し、笑顔を引き出すプロフェッショナルとして、長く活躍できる未来が待っています。
人の役に立ちたい、一生使える技術を身につけたいと考えている方に、ぜひ検討してほしい職業です。