中野区 摂食嚥下機能支援事業 多職種向け研修に参加しました。
平成30年1月23日、中野区医師会館にて開催された、
摂食嚥下機能支援事業 多職種向け研修会に参加させて頂きました。
今回は3つの事例紹介がありました。
一つ目は、
熊埜御堂耳鼻咽喉科の熊埜御堂先生より
【咽頭がんStageⅢ、放射線治療後、低栄養状態が続き、誤嚥性肺炎。救急搬送後胃瘻造設。退院後耐久性向上により経口摂取に前向きに。直接訓練再開検討のためのVE所見】
という症例を紹介して頂きました。
つい先週撮影したVE動画を見せて下さり、術後の状態や最終判断(胃瘻継続)に至るまでの過程を説明して下さいました。
2つ目は、
東京医科大学の船戸先生より
【両側反回神経麻痺により重篤な嚥下障害を合併した症例】
の紹介。
82歳男性。2007年転移性肺腫瘍による左肺全摘出。
2008年左咽頭麻痺。2015年にイレウスにて経鼻イレウスチューブ挿入。
チューブによる右反回神経麻痺か?
2017年気管切開。退院後外来経過観察。
そして、2017年8月、12月、2018年1月のVE所見での状態評価と今後の訓練内容の紹介でした。
反回神経麻痺は改善傾向にあり、気管カニューレ離脱には至っていませんがリハビリの効果による経過良好の途上を見せて頂きました。
3つ目は、
日本歯科大学附属病院 口腔リハビリテーション多摩クリニックの新藤先生より
【完全経口移行が可能となった脳出血後遺症胃瘻患者への摂食嚥下リハビリテーション症例】
77歳女性。特養入所。要介護5。アルツハイマー型認知症。
寝たきり度:A2(外出の頻度が少なく寝たり起きたり)
平成26年、脳出血→経鼻経管栄養。
平成27年、胃瘻造設。 2年間(!)非経口摂取。
施設側としっかりと協力体制をしき、
VE所見で良好な所見だったことから
少量の経口摂取開始。
以降、評価を定期的に行い段階的なリハビリテーションで、
半年後には3食とも経口摂取可能に。
その間の経過を体重を縦軸としてグラフ表示されていました。
9ヶ月目以降からはみるみる体重増加がみられました。
1年経過し、見守り声掛けが必要ではありますが、
刻み食を咀嚼嚥下し水分との交互嚥下で咽頭残留処理も可能に。
正しい評価と
適切で段階的なリハビリテーション
そして関わった人々(本人含め)の弛まぬ努力が
胃瘻から完全経口摂取となった素晴らしい事例でした。
もちろん、VE所見でリハ可能という状態だったからだとも思いますが
如何に口から食べて体重・体力を増加されるかが大切か
ということを実感できた事例でした。
今後ともこのような機会で様々なことを学び、また地域の専門職との連携を図れるよう精進して参ります。
東京在宅サービス
中野区担当相談員 湊 貞行